2013年(平成25年)の社労士試験に救済はあるのか?
毎年のように社会保険労務士試験の受験生を泣かせる「選択式」。
どんなに択一式で高得点を取っても、選択式で1科目でも基準点に到達しなければ、原則として「足切り」に遭ってしまい、合格できません。
たしかに、合計点だけで合格が決まるとすれば、労働安全衛生法のように配点の低い科目を全く勉強しなくても合格できたり、一般常識についてほとんど勉強せずに合格する人も出てくるので、合格者の知識の偏りを防ぐという意味では、一定の合理性があります。
しかし、それは「足切り」の基準が適正であり、上記の目的が達せられる場合に限り、合理性があるといえるのです。
現在のように、各科目わずか5点満点で出題され、しかも特定の偏った分野に集中して出題されたり、まさに重箱の隅をつつくような問題がまとめて出題されるような形式では、到底足切りに合理性がある、とは言えません。
2013年(平成25年)度の社労士試験選択式問題においては、労働者災害補償保険法、社会保険に関する一般常識、健康保険法において、難しい問題が出題されました。
特に労災保険法においては、どのテキストを使っていても点が取れないような問題でした。
もちろん問題としては、労災保険法施行規則(9条の4)からの出題であり、この条文を知っていれば解ける問題ではありました。
しかし、そこまで知らない受験生がほとんどなのであり、そういうところから全問を出題する問題が足切りの基準として適正に働くのか、はなはだ疑問です。
ほとんどの受験生が知らない問題では、結局は適当にマークした答えが合っていたかどうか、すなわち「運」で合格が決まってしまうことになります。
「運」も試験のうちという考えもありますが、それは努力がある程度正当に評価される上でのプラスアルファのものではないでしょうか。
今回の労災保険法の問題は、他のところでたまに出てくる、月額を日額に引き直すときに「30」で除するという考えを応用してなんとかEの空欄が埋まるぐらいであり、後は確信を持って答えられないのではないでしょうか。
(四つ葉のクローバーで幸運を。)
これだけ難しいと、基準点(3点)に満たない場合でも足切りを免れる、いわゆる「救済」が行われる可能性が高いです。
このレベルになってくると、2点で足切りを免れる可能性が高いのはもちろん、1点でも免れる可能性も出てきます。
もうこうなってくると、今回の問題は「足切り」の基準としてはほとんど働いていないに等しくなります。
試験形式・科目の変更が検討されているようですが、一刻も早い変更が望まれるところです。