入院するなら個室がいい。でも差額ベッド代は?

 

病気や手術で病院に入院しなければならないときがあります。その際、個室を希望する方も少なくないでしょう。

 

その場合、個室だと入院費が高くなってしまうのが一般ですよね。いわゆる「差額ベッド代」です。では、この場合の健康保険の適用はどうなるのでしょうか?社労士の勉強をしている方、パッと頭に浮かびますか?

 

 

まず、「通常の」入院費用は「療養の給付」として現物支給されますよね(健康保険法63条1項5号)。関連事項として、「療養の給付」の対象になるものを思い出してみて下さい。ちなみに、本人ではなく扶養家族が入院した場合は?その場合は「家族療養費」として支給されるんでした。

 

 

療養の給付を受けた場合は、一部負担金が発生します。一部負担金の割合は、原則3割でした(健康保険法74条1項)。では、70歳に達する日の属する月の翌月以後の方は?そして、その方のうち例外はどういう場合か?思い出してみて下さい。

 

 

 

入院時の差額ベッド代

(こんな個室で入院したら、いったいいくら差額ベッド代がかかることやら…)

 

 

さて今回は、自分で個室を希望して入院した場合です。その場合は、いわゆる「選定療養」となり、「療養の給付」に含まれません。関連事項として、他に療養の給付に含まれない療養を思い出してみて下さい。

 

そして、この選定療養は、保険外診療となります。保険診療と保険外診療を併用すること(混合診療)は原則として認められておらず、その場合は「自由診療」扱いとなり、健康保険が使えなくなります。すると、個室を希望して入院した場合は、本来保険の対象となるはずだった部分まで保険が使えなくなってしまう?

 

 

しかし、例外的に、選定療養や評価療養に関しては実質的に混合診療が認められており、「保険外併用療養費(健康保険法86条)」として、本来保険扱いできる部分については費用が支給されます。

 

そして、保険扱いできない部分、この場合の「差額ベッド代」については、全額自己負担ということになります。

 

ちなみに、差額ベッド代などの選定療養や評価療養にかかった費用は「高額療養費(健康保険法115条)」には含まれませんので注意して下さい。

 

 

以上のような理由で、差額ベッド代は健康保険の対象にならないのです。一般の方は結論だけ覚えていれば大丈夫ですが、社労士の勉強をしている方は、バッチリ頭に入れておいて下さい。